前回の記事では、小論文を分解して学習することを明確にしました。

- 小論文は、半分は国語で半分は専門分野
- 文章は内容・構成・表現に分けて考えよう
- 内容は、「現代社会のトレンドを学ぶ」・「過去問を集める」・「専門型出題かトレンド型出題かを分析する」・「受けようとしている試験の傾向に沿った分野を調べてまとめる」という対策をしよう
また、文章を3つの側面から見て、そのうちの「内容」について書きました。
まだ読んでいなければ、以下の記事を読むと、この記事の内容が分かりやすくなります。
「構成」で具体的に学習することがわかる
「表現」で具体的に学習することがわかる
「べからず集」を読めば、すぐに文章がシュッとする
目次
効果抜群!「構成」の学習方法
構成は文章学習の中で最も学習しやすい部分です。
学習するのは以下のことです。
- 段落構成
- 段落の分量
- 結論を置く場所
- 主張と根拠はセットで書く
①段落構成
段落構成に正解はありません。読みやすければ段落数にこだわる必要はありません。
しかし、目安を知っておくと文章全体が読みやすくなり、言いたいことが読み手に伝わりやすくなります。
読みやすいのは3段〜4段落構成です。
目安とする段落数は文字数によって変わります。

400〜600字—3段落構成がおすすめ
800字〜1200字—4段落構成がおすすめ
それ以上—書く内容ごとに段落を分ける
テーマによっても、書きやすい型があるので、最初の頃はそれを参考に書いてみるといいでしょう。
①〜④は段落を指します。
【改善が必要なテーマ】例:ジェンダーギャップ
①現状の問題点 ②改善すべき具体例 ③問題が発生する原因 ④問題を解決するための対策
*①と②は合体させてもOK
【推進が望まれるテーマ】例:SDGs
①現状で進められていること ②推進によって起こる良い点 ③推進を妨げる課題 ④より推進していくための方法
*①と②は合体させてもOK
【賛成か反対かを述べるテーマ】例:安楽死
①自分の立場(賛成か反対か)の表明 ②理由 ③自分と反対の意見を論破 ④自分の立場をもう一度詳しく表明
*①と②は合体させてもOK
【上の3つ以外のテーマ】例:大学ではどんな学びをすべきか
①主張(簡単に) ②理由 ③具体的事柄 ④主張(詳しく)
*①と②は合体させてもOK
②段落の分量
よく陥りがちなのは、自分の経験や感情は長くなり、試験をする側が読みたい「知識・思考・論理性」の部分が少ししか書かれていない状態です。

小論文では、自分語りは必要最小限でというのが鉄則!
段落ごとの分量(長さ)の目安は次の通りです。

短め:経験や具体例
中くらい:学習した知識
長め:知識を基にした自分の考え
③結論を置く場所
結論を置く場所は、3種類あります。
(1)頭括式…結論を最初に書く
(2)尾括式…結論を最後に書く
(3)双括式…結論を最初と最後に書く
どれでもいいですが、尾括式か双括式が書きやすいと思います。
④主張と根拠はセットで書く
主張(自分の考え)を書いたら、その根拠も一緒に書きます。主張だけで根拠がなければ、説得力に乏しいからです。
(例)主張生徒の主体性を引き出すには、ICT機器の活用が有効である。理由対面では発言する勇気ができない生徒も、zoomのチャット機能で質問を書き込むことはハードルが低く、可能だからだ。
(例)レジ袋を有料化すると、理由新たな出費を嫌う消費者心理が働くので、主張プラスティックゴミの削減が可能になると考えられる。
個性があっても大丈夫!「表現」の学習方法

表現は文章学習の中で最も学習しにくい部分です。
漢字・語句・文法の学習をコツコツと積み上げていくしかないです。
小論文の文体(言い回し、言葉のチョイス)などには個性は必要ありません。
しかし、文学部の国文学科系は、文章力がかなり必要です。叙情的な表現や、反語、倒置、擬人法など、様々な表現ができるといいでしょう。

表現の学習は、実際に添削してもらうことが1番効率が良いです。
学校の先生に添削を頼み、自分の表現の癖をつかむようにしましょう。
すぐに使える!小論文が見違える「べからず」集
最後に、私が考える「小論文に使わない方が良い表現」をまとめます。
使わない方がいいという理由は( )内に書いてあります。
- 「私は~」が多い(主観的、主張が弱い)
- 「なぜ~だろうか。どうすれば~だろうか。」などの問題提起型表現(長くなる、問題文が既に問題提起をしている)
- 「~を考えようと思う。~を考えてみよう、私は考えてみた」など宣言型・報告型表現(問題文が既に問題提起をしているので、書く必要がない)
- 「~になってほしいと思う。~ほしいものだ、頑張ってほしい」などの他人事表現(自分の考えを論じるという主体性が必要な小論文で、他人事のような表現は相応しくない)
- 「なので」(接続詞)などの口語表現(くだけた言い方)※「~なので」(助動詞)はOK。
- 「~です・~ます」調表現(長くなる、主張がぼやける)
- 「~思う」の多用(単調な表現になる)
- 文末がいつも一緒の表現(単調な表現になる)
- 常用漢字をひらがなで書いている(減点)
- 問題文に書いてある語句をそのまま書く(長くなる)
- 接続詞が正しくない(文法の間違い)
- 内容が誤っていたり、偏見だったりする(減点)
- 主語-述語が整合しない(文法の間違い)
- 体験や感想ばかり長く、主張が短い(バランスが悪い)
- 重複する表現「今の日本の現状は」(減点)
- わかりきっていること、当然のことを書く(文章が長くなる、説得力がなくなる)
- 段落がない(読みにくい)
- 8割以上書いていない。欄外にはみ出して書く。(字数が足りなかったり、超過したりしたら減点か不合格)
- 対策を並べ立てるだけ(根拠が書いていない)
- 課題文と全く関係のない内容(減点か不合格)
まとめ
構成は勉強しやすい一方、表現は日頃の積み重ねです。
小論文を試しに書いてみると、最初は全く書けず、たくさんの訂正が入ると思います。
1〜2ヶ月くらい調べ学習と過去問を並行して勉強したら、書けるようになると思います。

凹まずに、地道に勉強していきましょう!