こんな質問を受けることがあります。

うちの子、国語が全くダメなんです…
何をさせればいいですか?
「国語は学習の基礎です」と言われることもあるでしょうから、親御さんとしては心配ですよね。
また、子供に算数や理科社会を教えることができても、国語は教えられないから不安…という親御さんもいるようです。

そんな親御さんに向けて、この記事では、子供に国語力をつけさせるために親が家庭でできることを高校教師の視点から解説します。
目次
国語が苦手な子供の特徴①自由すぎる

国語の問題の多くは、「本文の中から問題で指定された情報を探し出す力、本文に沿った情報を活用する力」を測ります。従って、本文縛りと問題縛りがあります。本文で書かれていることがどんなに自分の考えと違っても、国語は本文が絶対なので、本文を離れて自由に自分の意見を書くことはしません。
しかし、「国語ができない子供」は、重要かどうかは置いておいて、本文の中の自分が読めるところ、自分が理解できるところにばかり注目します。本文にたまたま自分と同じような考えが書かれていたらよく読めるけれど、自分と全く違う考えが書かれていたら理解できず、勝手に考えてトンチンカンな解答を書いてしまうのです。
自分が信じたいことを補強する情報ばかりを集めて不合理な判断をしてしまう「確証バイアス」という言葉があります。

確証バイアスと同じで、自分が読めるところ、読みたいところだけに注目してしまう自由すぎる子供は、国語が苦手なようです。
国語が苦手な子供の特徴②見ていない

情報は見たり聞いたりして取り入れるものですから、学力の基礎の基礎は「情報を取り入れる力」で、特に「見る力」と「聞く力」です。
国語では、言葉がたくさん並んだ長い文章をじっくりと見ながら読む必要があります。また、漢字は、形をしっかりと見て覚える必要があります。国語では「見る力」が大切なのです。
しかし、国語が苦手な子供は、自分でも読み返せないくらい文字を書き殴ったり、文章を適当に読んだりして、しっかりじっくり見ることをしません。

見ない情報は頭に入ってこないので、当然文章の流れが掴めず、問題もわからないから国語が嫌いになってしまいます。
このような子供に国語力を付けるために、親ができることを次から説明します。
親ができること①声を出して文章を読む環境を作る

以前、ボランティアで幼稚園の3歳児クラスで絵本の読み聞かせをしたことがあります。その場面に合った表現をしなければ、3歳児の集団を物語の世界に引き込むことはできません。3歳児の反応は正直なので、読み聞かせの良い修行になりました。
声に出しながら本文を正確に読むということは、言葉を読んだ瞬間にその言葉が次とどう繋がっているか、この言葉にどんな心情が込められているかを判断することです。

ただ棒用読みをするのではなく、場面や前後関係を考え、心情を付け加えながら読むと、ものすごく国語力が付きます。
では、小学生に考えながら読ませるにはどうすればいいのでしょうか。
例えは、次のような案はどうでしょう?
家族対抗読み聞かせ合戦
同じ絵本を毎日1人ずつ読み、1番上手だった人にご褒美があると告知し、子供が面白がって主体的に読むようになることを目指します。
月曜日はお母さん、火曜日はお兄ちゃん、水曜日はお父さん、木曜日は赤ちゃん、金曜日は決勝戦、みたいな感じで。
赤ちゃんにも読ませることにしたら、お兄ちゃんが協力したり、つっこみを入れたりするかもしれません。それはお兄ちゃんが考える機会になります。赤ちゃんを泣かすようなことがなければ、お兄ちゃんのしたいようにさせてあげるといいかもしれません。
音読deディスカッション
子供の宿題の音読を利用し、内容について話し合い、子供の深い理解を目指します。
新しい単元に入った時だけでいいので、子供の音読を真剣に聞きます。1度聞き終わったら、「結局、イースター島から森が消えたのはなんで?」とか、「兵十に撃たれたゴンは、悔しかったろうね〜」など、読んだ部分について質問をしたり、自分の意見を言ったりします。親がわざと間違ったことを言うと、子供が考えながら反論してくれるかもしれません。年上の兄弟姉妹がいたら、その子を巻込んで議論してもいいでしょう。
親ができること②知識や経験を増やす

子供たちの世界はとても狭いです。学校と部活と友達の間だけで生活していたら、高校生になっても世界は広がりません。しかし、高校国語の現代文の問題は、大学の先生が大人向けに書くような難しい文章が使われます。内容も、経済・社会・情報・環境・言語など、多岐にわたります。
こんな文章を読めるようになるには、教室では教えられない幅広い知識が必要です。教科書には載っていないけれど、大人にとっては常識ということを知っている生徒は、現代文が得意な傾向があると思います。その知識を身につけるには、下記のような体験や経験が有効です。
子供の社会的知識を増やす知的体験
・テレビやラジオのニュースをつける。
・大人同士で政治・経済・文化などの話をする。
・自分の職場を見せる。
・知らない場所に旅行に連れて行く。
・美術館・博物館・科学館・図書館・選挙投票所・銀行などいろいろな種類の場所に行く。
親ができること③書道教室に通わせる

漢字は、へん・つくり・かんむり・あしが組み合わさってできていて、部分部分が同じ形をしています。従って、いくつかの漢字にじっくりと向き合って形・読み・書き順を覚えると、他の多くの漢字に応用することができます。また、丁寧に書くと字をよく見るので、忘れなくなります。

これらを一気に実現してくれる習い事は、書道です!
漢字を覚えられるだけでなく、上手に字を書けるようになるし、学校の書道の授業でも苦労しなくなり、夏休みの宿題にも応用できます。

漢字は小学生が勝負です!
高校生になって漢字力がないと、相当辛いです…
親ができること④本のある生活をする

国語の読解と日常の読書は違います。

・読書は、文章を自分の好きなように味わって読むこと。
・読解は、主観を入れずに筆者の考えを読み解くこと。
一方で、共通することは、たくさんの文字を読むということです。
本を読めば、当然沢山の文字に触れます。
- 文字に対する抵抗感がなくなり、長文を読めるようになる。
- 知的経験が増える。
- 忍耐力、想像力、集中力がつく。
ぜひ、図書館や本屋さんや古本屋さんに行って、本をたくさん与えて下さい。
また、子供は親が思っている以上に親の影響を受けていますので、親が本を読む姿を見せてあげると効果は絶大です。それを見て子供がすぐに読書をするようにならなくても、子供たちの人生に「読書」という選択が確実に増えます。
一緒に読んだり、本の話をするとなお素晴らしいと思います。

私が子供の頃本をよく読んでいたのは、両親の影響が大きかったと思います。
まとめ
ここまで、個人的な見解ですが、国語が苦手な子供の特徴と子供の国語力向上のために親ができることを具体的に見てきました。
- 国語が苦手な子供の特徴は、自由すぎて物事をよく見ていない。
- 親ができること①声を出して文章を読む環境を作る。
- 親ができること②知識や経験を増やす。
- 親ができること③書道教室に通わせる。
- 親ができること④本のある生活をする。

上記の2〜5を大きくまとめると、
・環境を作ること
・経験をさせること
・その気にさせること です。
これらのことを実践しても、すぐに顕著な成果は出ませんが、じわじわと賢さが蓄積されていき、高校2年生ぐらいでその芽が出る子がいると思います。
しかし、それぞれの家庭の事情があるので、全部する必要もないし、自力で国語力を向上させられる子供もいます。

親子とも、無理なくできる範囲で、気長に、一緒に楽しむのがコツです!