GIGAスクール構想により、否応なく教育が変化しようとしています。
時代の波ですね。
しかし、ICTは機材も人間もまだまだ準備が不十分です。
だから、次のような思いを持っている先生も多いと思います。

苦手だ〜
どう取り掛かればいいか、わからないし…
研修する時間とかないし!
しかし、ICT授業に苦手意識を持つのは、実践していないからかもしれません。
ICTに慣れるまでは、アナログ授業より余計準備に手間がかかるかもしれませんが、

慣れてしまえばサクッとできるようになると思います。
ここからは、私が実際に行っている授業の一例を紹介します。
・実際に、どのようなICT活用方法があるのか
・どのアプリを使うのか
・事前準備はどのような手順で、どうすればいいのか
目次
今回実践するICT活用方法
- 教員がワークシートをプロジェクターでスクリーンに投影
- 投影したワークシートにiPad上で教員が書き込む
- 教員がGoogleクラスルームで資料を生徒に配布
使用アプリ
次のアプリをiPadにインストールしておきます。
- GoodNotes5
- Adobe Scan
- Googleクラスルーム
- Googleドライブ
これはよく使用するので、iPadのDock(下側のバー)に入れておくと便利です。
ちなみに、iPadのDockは、画面の下の方に指を当て、軽く上にクイっと引き上げると、アプリを使っている最中でも引き上げることができます。

今回の使用教材
「史記」より「鴻門の会」
次のものを用意します。
- ワークシート:「鴻門の会」の本文、書き下し文、口語訳
- 資料:横山光輝さんの漫画「史記」(鴻門の会が描かれた漫画)
今回は史記ですが、「源氏物語」でも「水の東西」でもこの授業はできます。用意するワークシート、資料を変えればいいだけです。
授業の目標
- 授業に参加したい!と思わせる(興味喚起)
- 自分の学習を振り返り、見通しを立て、粘り強く取り組む状況に追い込む(主体的な学びの実現)
- グループ学習で問いについて考えさせる(対話的な学びの実現)
- 教員による講義は極力せず、生徒達で「なるほど!」と感じさせる(深い学びの実現)
- 1人が責任持って発表する状況を作り、発表の場数を踏ませる(表現力の育成)
事前準備〜授業実践
手順① ワークシートを作成する
教科書付属のCD-ROMの教科書本文のデータをWordにコピペして、いつも作っているようにパソコンでワークシートを作ります。

国語としてとても困ったことに、Googleドキュメントは、縦書きができません。
従って、Wordで縦書きの本文を準備してワークシートを作成します。
手順② ワークシートをGoodNotesに取り込む
・簡単ver
ワークシートを取り込む最も簡単な方法は、Adobe Scanで取り込む方法です。
Adobe Scanで、プリントアウトした紙のワークシートの写真を撮り、切り抜きやクリーンアップでプリントの形や色を整え、PDF化します。
そのコピーをGoodNotesに共有します。
これでワークシートがGood Notesに取り込まれました。

・より鮮明できれいに取り込むver
鮮明にきれいにクラウド上からPDFを取り込む方法です。
紙でプリントアウトする必要はありませんので、パソコンやiPad上で完結します。
パソコンのWordでワークシートを作成します。
Wordの「ファイル」>「エクスポート」から ワークシートをPDFにします。
その PDFを Googleドライブのマイドライブにアップロードします。
iPadのアプリからGoogleドライブを開きます。
マイドライブからGoodNotesに取り込みたいPDFを探し、右側の「・・・」をタップします。
「アプリで開く」をタップし、「Good Notesで開く」をタップします。
保存する場所を選び、「新規書類として読み込む」をタップします。
これでワークシートがGood Notesに取り込まれました。

手順③ Googleクラスルームで配布する資料をPDF化する
漫画をGoogleクラスルームで生徒に配る準備をします。
配るためにPDF化する3つの方法を挙げておきます。

方法1:漫画本をコピー機でコピーし、印刷された紙をAdobe Scanで写真を撮り、PDF化する。
メリット:
最も簡単で手順が複雑でない。
授業中でもPDF化できる手軽さ。
デメリット:
画像が荒くて鮮明でない。
ページが多い場合、写真をたくさん撮る必要がある。
クリーンアップやトリミングなどの手間がかかる。
方法2:コピー機でPDF化してパソコンにデータを送る。
USBをコピー機に挿し、PDFをUSBに保存してもできます。
メリット:
画像がきれい。
連続で読み込みができて手間がかからない。
デメリット:
コピー機がないとできない。
コピー機とパソコンを繋ぐ設定が必要で、繋げなければUSBが必要。
手順が多いので手間がかかる。
読み込んだPDFは、パソコン上のデスクトップなどわかりやすい場所に保存する。
後でわからなくならないよう、その都度その都度PDFに名前からをつけてフォルダに整理して入れておく。
方法3:iPadで電子書籍を読み込み、スクリーンショットを撮り、それをAdobe ScanでPDF化する。
Kindle版の漫画を購入し、必要なページをスクショします。
その画像をAdobe Scanに読み込んでPDF化します。
メリット:
画像がきれいで鮮明。
カラーもきれいにでる。
スクショするだけなので、画像を取り込むことが楽。
デメリット:
Kindle版を購入しないといけないので、費用がかかる。
余分な部分のトリミングなどの手間がかかる。
手順④ PDFをGoogleドライブにアップする
上記の③-方法1・方法3でPDF化した場合
Adobe Scanで写真を呼び出し、トリミングしてチェックをタップします。
「共有」>コピーを共有>Googleドライブ(三角形のマーク)>アップロード
上記の③-方法2でPDF化した場合
パソコンに保存したPDFも同様に、「共有」>コピーを共有>Googleドライブ(三角形のマーク)>アップロードでアプロードする。
手順⑤ Googleクラスルームに資料を配布、紙のワークシートを印刷
以下の参考リンクを見て、Googleクラスルームにクラスを開き、生徒をそのクラスに招待(登録)します。
Googleクラスルームに入り、「授業」>「+作成」>「資料」の順にクリックします。
PDFに「鴻門の会の資料」などタイトルをつけます。
必要に応じて、説明欄に授業中の指示などを書きます。
1つの単元ごとに「トピック」を作るとクラウドで整理しやすい。
割り当てると、生徒のGoogleクラスルームに資料が配られます。
手順⑥ iPadを教室のプロジェクターと接続する
アプリで接続したり、アップルTVで接続したり、HDMIケーブルで接続したりと、学校のプロジェクターによって接続方法は様々です。
学校の情報担当の先生に接続方法を聞いてみて下さい。
もしDigital AVアダプタを使う場合もあると思います。
アダプタは学校にあると思いますが、私は個人で持っています。
私の学校では、まだ職員1人につき1つないので、授業前に借りにいく手間があり、不意に使いたい時に不便だからです。
また、家でiPadとテレビをHDMIケーブルで繋ぎ、Disney +を見るために使っています。
Apple純正は高いですが、純正でなくても使えます。
ただ、ライトニング(スマホの充電口)とタイプC(iPad Airの充電口)を間違えないようにしましょう。
接続したら、手元のiPadの画面がプロジェクターに映し出されます。
余計なものを生徒に見せないように、あらかじめGoodNotesなどのアプリを開いてから接続するといいかもしれません。
GoodNotesの使い方や、プライベートと授業の使い分けは次の記事を参考にして下さい。
以上で授業の準備は終了です。
やっと授業!
これから授業です。
印刷したワークシートを配り、授業開始です。
Googleクラスルームを開いたり、GoodNotesに書き込みしたりしながら授業を展開します。
感覚としては、次のように変換してみると使いこなしやすいです。
- 黒板に板書する代わりに、GoodNotesで板書する。
- 印刷した漫画の資料を見させる代わりに、Googleクラスルームの資料を見させる。

慣れるまで大変だと思いますが、慣れたら、「黒板とチョークとワークシートの授業よりちょっと手間がかかる」程度になると思います。
ICT授業は始まったばかりで、誰もが手探りです。
ゴールイメージもよくわかりません。

一緒に学んでスキルを磨いていきましょう!