人見知りとは、一般的には、小さな子供が知らない人を見て不安を覚えることを言います。
しかし、大人になっても、次のような感覚を持つ人はかなり多くいるようです。

初対面の人と会話するなんて無理!
知らない人と話すと緊張する…
初めての環境にいると、とにかく疲れる…
この気持ちは、人見知りでない人にはわかってもらえないかも知れませんね。
でも私は人見知りでしたから、よくわかります。
正直、いまだに人見知りをする場面はありますが、それでも大分マシになりました。
この記事では、次のようなことがわかります。
- 大人の人見知りのとは?
- 私が人見知りを克服した具体的な方法3選
- そもそも人見知りは悪いことなの?
目次
大人の人見知りって?

精神科医の清水英司さんは、自身の著書『大人の人見知り』の中で次のように書いています。
精神科医である私から解説をしますと、大人の人見知りは、「人間関係の不安が強い状態」を指すように思います。
大人の人見知りは、社交の場で不安を覚え、動悸や赤面、発汗などの症状が現れる心の病気のひとつで、医学用語では「社交不安症」と呼ばれる症状の予備軍と考えることができます。
清水 英司
大人の人見知り (ワニブックスPLUS新書)

大人の人見知りとは、「人と接する場で不安を覚える」ということのようです。

でも、たくさんの人と接する学校の先生が人見知りなんて、仕事ができないんじゃない?
と思う方もいると思いますが、できちゃうんです。
生徒の前で授業をすることや大勢の前で話すこと、保護者との面談も平気だからです。
しかし、知らない人ばかりの場所や、自分が大して役に立てない場所に行くと、居心地が悪くてたまらなくて、すぐに帰りたくなっていました。
なぜだろうと自分で考えてみたら、人見知りが出てしまうのは、よくわからなくて不安になったり、自信を持てなかったりする場面でした。
専門外だったり、知らなかったり、自分が役に立てなかったりすると、他の人から無視されたり、恥をかいたり、軽んじられてしまうかもしれないという恐怖が人見知りの原因だったように思います。
人見知りは克服できるの?

先ほどの『大人の人見知り』の中で、精神科医の清水先生はこのように書いています。
人見知りも遺伝的な部分がある一方、遺伝ではなく、ライフイベントの中で生じてくる部分もあります。
患者さんの中には「これは性格だから変えられませんよ」と言う人もいますが、「全然、そんなことはありません。人見知りは認知行動療法で変えられます。諦めることはありません」と、私は断言しています。
清水 英司
大人の人見知り (ワニブックスPLUS新書)
先ほど「〜だった」と過去形で書きましたが、私はかなり人見知りを克服できたと思っています。

次からは、私の人見知り克服に役立ったと思うことを紹介しようと思います。
人見知り克服法①:自分の強みを自覚する

人見知り克服のきっかけは、自己理解を深めようと思って受けたストレングスファインダーでした。その診断結果を見て、自分の強みを客観的に知ったことです。
それにより、「自分は誇れる強みを持っており、それを使って人の役に立つことができる人間なんだ」と自信を持てるようになりました。そして「人は人、自分は自分」と割り切れるようになりました。
それからは、人と比べたり人を恐れたりすることがなくなったのです。
ストレングスファインダーとは、177個の質問に答えて、自分の才能を知ることができる米国ギャラップ社のオンライン性格診断ツールです。
詳しくは以下のリンクを参考にして下さい。
本でも知ることができます。
私の上位5つの強みは、「慎重さ」「学習欲」「達成欲」「内省」「分析思考」で、自分で「なるほど」と納得できる「強み」でした。同時に、私が「こうありたい」と思っていた強みでした。
私には苦手な分野があります。しかし、同時に優れた分野もあるということを客観的に理解することができたのです。
それは、「私は自分の努力でなりたい自分になれた」、「私には強みがある」という自信と、「苦手なことができなくても仕方ない、他の人に助けて貰えばいい」という割り切りにつながりました。
その結果、知らない人が大勢いる場所で不安になっても、「知らないから怖いだけ。知れば自分の強みを活かして何とかなる」と思えるようになりました。
今では、人見知りが出ても、気持ちを切り替えてその場をうまく乗り切ることができるようになったと思います。
人見知り克服法②:イラショナルビリーフの自覚

イラショナルビリーフとは、「非合理な思い込み」のことです。理に適っていない、おかしな思い込みです。

イラショナルビリーフとは、
- 普遍化(みんな・いつも・ずっと)
- 自己関連付け(全部私のせい)
- 〜べき思考(こうでなければいけない) などを指します。
例えば、忘れ物をしてしまい、次のように考えたとします。
- 私はいつも忘れ物をする。
- みんな忘れ物をしないに。
- これからもずっと治らずに先生から怒られたり会社で怒られたりするに違いない。
- 全部私がだらしないせいだ。
- 忘れ物なんかしてはいけないのに
これらは非合理な思い込みです。
- 「いつも」とはどのくらいの頻度? 毎回100%忘れ物をするの?
- 「みんな忘れ物をしない」の「みんな」とは何人?
- 本当に全員忘れ物をしていない?
- 本当にこれからもずっと治らない?
- 「きちんとしている人」だって忘れ物をすることもあるよ。
よく考えたら、合理的ではない思い込みに過ぎないということがわかりますよね。
しかし、一度マイナス思考に陥ってしまったら、どんどん沼にはまってしまいます。
初めての場所に行って、初対面の人とたくさん会った時、

うまくやらないといけない!
いつも私は失敗してしまう…
私がダメだから話せないんだ…
というイラショナルビリーフを持ってしまったら、うまくいくものも失敗してしまいます。
自分がマイナス思考に陥った時、「イラショナルビリーフだ、そんなことはない」と自分に言い聞かせたら落ち着くことがあります。
私は、文房具にこだわっていて、お気に入りの文房具で気分を上げるようにしています。
不安を感じそうな場面では、自分を勇気づけるボールペンをお守りがわりに握りしめて、イラショナルビリーフに陥らないように心がけていました。

ちょっとした工夫で自分の気持ちをコントロールできたら、自信につながりました!
人見知りを克服法③:荒療治・コミュニケーションを取らざるを得ない状況に自分を置く

私は英語力に自信がないので、通じなかったらどうしようと思い、外国人と話すことを避けていました。だから、ALTともほとんど会話したことがない時期もありました。
しかし、ひょんなことから3人の英語圏の人の世話をすることになりました。
来日したばかりでカタコトしか話せない彼らを私が案内することになった時は不安でしたので、前日にGoogle翻訳のアプリをインストールして万全を期していました。
しかし、3人を相手にいちいち入力して翻訳するわけにもいかず、「ええい、カタコトでもいいから話したほうが早い!」と中2レベルのジャーパニーズイングリッシュで話してみました。彼ら3人もカタコトの日本語で一生懸命説明しようとします。
カタコト英語とカタコト日本語の会話は、側から見たらさぞ微笑ましかったことでしょう。しかし、カタコトで十分でした。完璧な英語は必要ありません。必要なのは、理解しよう、伝えようという思いでした。
今でもその3人とは仲良しで、彼らに会うと、なぜか私の日本語までカタコトになっていますww
好意には返報性があります。こちらが好意的であったら、相手も好意を返してくれます。
人見知りの人は、相手からの好意を期待してしまいます。しかし、最初にこちらが好意を示すことで人間関係は円滑に進みます。
好意的に接しても相手から好意的な態度がなければ、それはあなたではなく、相手の人間性の問題かも知れません。気にする必要はありません。

荒療治ではありますが、主体的にコミュニケーションを取らざるを得ない状況に自分を追い込み、勇気を出したことはいい経験になりました。

ちなみに、英語は、ルー大柴や出川哲朗で通じます!
イングリッシュでトゥギャザーしようぜ! ニヤニヤ!
おまけ:人見知りは悪いことか?

そもそも、人見知りをすることは悪いことなのでしょうか?
人見知りの不安の感情は、慎重だからこそ発生するものだと思います。
大昔、未知のものに対して不安を抱く人が全くいなければ、危険に遭遇する可能性も増え、人類が生き残ることができなかったかもしれません。
ネガティブな感情も必要だから存在するのであり、人見知りをすること自体は悪いことではないと思います。
ただ、滅多なことでは安全が侵害されない現代では、ネガティブな感情を持つ本人は辛いと思います。

人見知りをしている自分が辛ければ、人見知りを克服するのもいいと思いますが、特に辛くはないのなら、無理して克服する必要もないと私は思います。