古文嫌いな人におすすめ!学習に役立つ漫画3選

この記事はアフィリエイト広告を含みます

古文が嫌いな高校生は実に8割ともいわれています。
なぜそんなに古文が嫌いになってしまうのでしょか?
多くは、文法を覚えさせられたという経験が理由なようです。

しかし、裏を返せば「古文を楽しく楽に理解できれば嫌いではなくなる」可能性もあると思っています。

無理に文法を覚えることで挫折し、古文が嫌いになった人におすすめするのが漫画です。

漫画を古文学習におすすめする理由

文章を理解するときには「トップダウン処理」と「ボトムアップ処理」という2種類の理解方法があります。

トップダン処理は「予備知識があり、だいたいどんな内容が書かれているか想像がつく状態で読むとき」の理解の仕方です。
例えば、野球をずっとしていて、体験的に野球の上達方法を知っている人が「野球の上達法」という文章を読むような場合です。
言葉の意味やニュアンスが一読しただけでわかるので、理解がとても楽です。

一方、ボトムアップ処理は「予備知識がない内容が書かれていて、書いていることをほぼ想像できない状態で読むとき」の理解の仕方です。
例えば、カバディの存在さえ知らない人が「カバディの極意」という文章を読むような場合です。
単語の一つ一つの意味を考えたり調べたりして、文のつながりや文脈を考え、徐々に内容がわかるようになる読み方で、読み手の負担が大きいのが特徴です。

ちなみに、石黒圭さんの『文章予測』という本に、この「トップダン処理」と「ボトムアップ処理」など、文章を理解する上に不可欠な「文章予測」とはどういうものかがやさしく書かれています。

高校生が古文を読むときは、大抵は「ボトムアップ処理」なので、とても難しく感じられるでしょう。
しかし、大体の意味を知ってから本文を読めば、昔の言葉とはいえ日本語なので、内容が理解しやすくなります

「トップダン処理」を脳内で行い、内容を理解しやすくするために有効なのが、絵で視覚化されていて少ない言葉でまとめられた漫画なのです。

授業・試験に役立つ!おすすめ漫画3選

では、私が激推しするおすすめの漫画を3つご紹介します。

教科書頻出の話ばかり『高校古文こういう話』

著者は塾の講師であったという柴田純子さん。

第1巻にあたる『高校古文こういう話』では、次のような古文が漫画になっています。

  • 『宇治拾遺物語』「児のそら寝」「小野篁 広才のこと」
  • 『枕草子』「中納言参り給ひて」
  • 『伊勢物語』「くたかけ」

あなたが持っている教科書に載っている作品ばかりではありませんか?
さすが塾の講師をしていただけあり、学校で習う作品を網羅しています。

2〜4冊目の中には『徒然草』『更級日記』『平家物語』『奥の細道』など、教科書に必ず載っている古文作品だけでなく、『説苑』『史記』などの漢文まで載っているのが嬉しいところです。

ちなみに、古文の原文や重要単語、単語の訳も載っています。
おすすめの使い方は、予習や復習として読むことです。

4冊全部読む必要はないと思いますが、まずは1冊目から読んでいくことをおすすめします。
読書の時間(漫画を怒らない先生なら)にもとてもよいと思います。

優しい絵で、内容を短くまとめていますので、読むのに全く負担がないのがすごい!
古文・漢文がどうしても苦手な人は、これを読むだけで内容が頭に入ります。

私も授業のときに利用させてもらいました。

高校の先生にもおすすめです!

古文の有名人を知ろう!『日本人なら知っておきたい日本文学』

作画担当が漫画家の蛇蔵さん、内容担当が日本語学校の教師・凪子先生です。

この2人が書いた『日本人の知らない日本語』はドラマ化もされていましたね。
日本語(現代文)理解、異文化理解に役立ちますが、それ以上に単純に面白い!
絵はかわいらしいし、日本語学校に通う自由な生徒達の日常も楽しいし、大好きな本です。

個人的には、ジャックさんとマダムの話が好きです。
教師としては、敬語の学び方やひらがなの変遷など、授業で使える豆知識がたくさんあって、重宝しています。

『日本人の知らない日本語4海外編』は、蛇蔵さんと凪子先生が世界を回ります。
日本が好きでちょっと変わった愛すべき外国人がたくさん!
レッドくんのキムタク風ボイスや爽やか先生の日本語体操?など、とても笑いました。

その蛇蔵&凪子さんが書いている『日本人なら知っておきたい日本文学 ヤマトタケルから兼好まで、人物で読む古典』が、古典学習にとても役立ちます。

先ほど紹介した『高校古文こういう話』のシリーズは、古典作品のストーリーを紹介する漫画です。
一方『日本人なら知っておきたい日本文学』は、古文作品の作者にスポットを当てている漫画です。

三大随筆の作者清少納言・鴨長明・兼好法師がそれぞれどんな人で、どんな内容の作品を書いたかが解説されており、随筆を理解する上でとてもよい内容です。
3人とも特徴?がよく出ていて、とても理解しやすくなっています。
随筆は、時代と内容を押さえておく必要があり、作者がどういう人かを理解すれば、自然と内容も頭に入ってきます。

また、これも頻出の紫式部と菅原孝標女の人物像が生き生きと描かれています。
孝標女が『源氏物語』を与えられて部屋に閉じこもっているシーンや、ロリータ系?お姉さんのシーンなどは、かわいらしくて読んでいて笑ってしまいました。

本当に、この本も単純に読んでいて面白い!
清少納言のタバコ、菅原孝標女のメガネなど、「確かに!」というイメージで作画されています。
凪子先生のコラムも、さすがの解釈で光っています。
安倍晴明や源頼光などは古典学習に直結はしないかもしれませんが、楽しく読むことができます。

推しポイントがたくさんある逸品です。
高校生だけでなく、中学生、社会人、学校の先生にもおすすめです!

もはや「現代の源氏物語」!『あさきゆめみし』

物語が映画化されると、見事に物語の世界が映像化されていて感動することがあります。
ハリーポッターやディズニーの映画など、想像通りの映像ですごいですよね。

しかし、『源氏物語』に関しては、まだ「すごい!」と感動する映像に出会ったことがありません。
理由を考えてみると、ストーリーがあまりにも長いということ、一つ一つの恋や人間関係の余韻を味わう必要があることかなと思います。

一方、『源氏物語』は訳本には名作が多いと思います。
それぞれの訳者の『源氏物語』に対する考え方や愛情が感じられます。

そかし、それらは名作すぎて、なかなか簡単には読めません。
日本古典の最高峰『源氏物語』を比較的手軽に、且つ丁寧に、その余韻も含めて読もうと思ったら、絶対におすすめなのが『あさきゆめみし』です。

高いですが、全巻セットを買う価値はあります!
特に大人や学校の先生におすすめです!

おすすめ理由①感動の再現性

『源氏物語』のあらすじを1冊にまとめた本もありますが、源氏や女君たちの細かな心の動きが描かれず、単なる「マザコンで浮気男の話」になってしまっている感が否めません。

『源氏』の醍醐味は、300人ともいわれる一人一人の登場人物の心の動きです。
(天才・紫式部が1人で書き分けているのですから、すごい!)

その心の動きや繊細で優美な世界観をきちんと描いている漫画は『あさきゆめみし』です。
もはや「現代の源氏物語」といってもいいくらい原作の世界観を最も再現している漫画だと私は思っています。

古い漫画なので、高校生は若干読みにくく感じかもしれませんが、すぐに慣れると思います。
私は、必ず自分のクラスの教室に全巻置いておきました。
すると、1年経ったらボロボロになるほど生徒達が読んでいました。
最初は興味を持てなくても、読み始めたら止まらなくなると思います。

おすすめの理由②試験やテストに有利

2014年のセンター試験で『源氏物語』の「夕霧の巻」が出題されたことがあります。
源氏の息子・夕霧とその妻・雲居の雁の夫婦喧嘩のシーンです。
『あさきゆめみし』を読んでいた生徒は「先生、読めました!」と興奮気味でしたが、読んでいない生徒は撃沈でした。
200点満点の試験の平均点が、まさかの98.67点。
受験に嵐が吹き荒れた伝説の年でした。

模試にも『源氏』が出ることがありますので、『あさきゆめみし』を読んでおくと、直接役に立つことが多いです。

もう一つ『あさきゆめみし』を読む利点があります。
『源氏物語』が偉大すぎて、アフター『源氏』の時代は、『源氏』の影響をもろに受けて真似して書かれた作品が多く出現しました。
擬古物語などです。
『源氏物語』のシチュエーションをそっくりそのまま真似しているものもあり、『あさきゆめみし』を読んでいたら「どこかで読んだな?」と思いながら読解できると思います。

まとめ〜楽しみながら漫画で古文学習を〜

以上3つの漫画をおすすめしました。

いずれも「学習・試験に役立つ」し「読んでいて楽しい」ものです。

どうせ古文を学習するのなら、楽しく学びましょう!